「タクティクス オウガ」には“忠誠度”というパラメータがあります。ゲームの中では余り目立たない存在で、忠誠度が極端に低い味方のユニットは離反することがある、忠誠度が低い敵ユニットは説得しやすい、ということくらいしか説明書には触れられていませんが、この忠誠度は数値として見られない仕様になっていて、逆に興味をそそられます。
これまでのところ、忠誠度について詳しく調べた例を見かけませんので、私が調べた範囲で分かったことをここに掲載します。すべてソニー・プレイステーション版の「タクティクス オウガ」での解析結果ですので、他のプラットフォームでもそうだとは必ずしも断言できませんが、違っていることはまずないと思います。ただし、全ての場合を調べたわけではありません。ご了承下さい。
忠誠度は、ユニットの名前を HELP で調べることによりわかります。このユニットの忠誠度と HELP メッセージの対応を表にしました。
表のように、メッセージは忠誠度 40 以上では 20 毎に、40 以下では 10 毎に変化するようになっていて、離反しそうなユニットには注意しやすいようにとの配慮がうかがわれます。また、同じ忠誠度の値でも、LAW よりも NEWTRAL、NEWTRAL よりも CHAOS の方が辛口の表現になっています。実際、アラインメントによって離反のしやすさに差があります。この違いを表にしました。
LAW のユニットは忠誠度が0にならない限り離反しないのです。ただし LAW のユニットは忠誠度が変化しやすい(下がるときは下がりやすい)ので安心とは言えません(後述)。また、Lサイズユニットは、文句も言わず、決して離反しません(忠誠度が0になっても)。
これが一番分かりにくいところです。数値として見えないので、いつの間にか上がっていた、あるいは下がっていた、ということになるからです。
まず、ユニットの忠誠度の最初の値は、どうやって決まるのでしょうか。これは実は「民族別カオスフレーム」という値を元に決められます。民族別カオスフレームについては、別のページ(「ギルバルドエンディング」の出し方)で説明しますが、各民族の民族としての忠誠度といえます。
私の調べたところ、ショップで雇ったユニットの忠誠度は、この民族別カオスフレームの値を中心におよそ±10 の範囲でランダムに決められます。アラインメントによって高めとか低めとかいうことはありません。また、亜人間ユニットやLサイズユニットの場合は、50 を中心に±10 になります。イベントで仲間になるユニットの忠誠度の初期値は、決まった値で固定です。
プレーヤーの行動(選択肢)によって、仲間のユニットの忠誠度が決まった変化をする場所(場合)がいくつかあります。その最たるものは、ルートの選択です。
「タクティクス オウガ」では、プレーヤー(主人公)は最初(1章)はアラインメントが NEWTRAL です。1章から2章へ進むときに分岐点があり、「Lルート」を選ぶとアラインメントが LAW に変わり、その後ずっと LAW のままです。逆に「C ルート」を選ぶとアラインメントは CHAOS に変わります。
さらにCルートの場合、2章から3章へ進むときにも分岐点があり、アラインメントが NEWTRAL に戻る「Nルート」に進むか、CHAOS のままのCルートを進むかが選べます。
この2ヶ所の分岐点で、仲間のユニットの忠誠度が決まった値だけ変化します。これらの分岐点の選択肢は、「LAW 寄り」なものと「CHAOS 寄り」なものの2つで、
という変化をします。NEWTRAL のユニットの忠誠度は変化しません。
つまり、ルートを選ぶだけで、忠誠度が大きく変わるのです。まとめると、
LAW | NEWTRAL | CHAOS | |
---|---|---|---|
Lルート | +10 | 0 | −10 |
Nルート | 0 | 0 | 0 |
Cルート | −20 | 0 | +20 |
となります。仲間の忠誠度を効率よく上げたいなら、ルートに合ったアラインメント(Lなら LAW、Cなら CHAOS )のユニットばかりを早めに雇うことです。Cルートが一番効率的で、Nルートが一番損です(2回の効果が相殺するため)。
顔キャラによっては、特別な変化をするものもあります。2→3章でNルートを選ぶと、アロセールは忠誠度が0になり離反しますし、フォルカス・バイアン・システィーナは忠誠度が−20 されます。
戦闘中などにも、敵リーダーとの会話の中で選択肢が出てくることがあります。ここでも選択肢は LAW 寄りのものと CHAOS 寄りのものに分かれていて、この選択が仲間のユニットの忠誠度に影響を与えます。ただし影響を受けるのはその場に居合わせた仲間だけ(戦闘に参加している仲間だけ)です。
例えば1章では、クァドリガ砦でニバスと闘うとき、ニバスの「見逃してはくれませんか?」という問いに「無抵抗の者と闘うつもりはない。」と「ふざけるなっ!」が選べますが、前者が LAW 寄り、後者が CHAOS 寄りです。このときは、
という変化をします(その場に居合わせた仲間のみ)。変化幅がずいぶん小さいようにも思えますが、同様な選択肢は何度も出てくるので、積もり積もると馬鹿にならなくなります。例えば1章ではその後すぐ古都ライムでシスティーナを救出するとき、「いずれにせよ放ってはおけない。」「助けたいのはやまやまだけど…。」という選択肢が出てきますが、これも同様の効果を持ちます。
いずれにせよ、効率よく仲間の忠誠度を上げるには、選択肢は一貫して同じタイプのものを選ぶようにし、戦闘に参加させる仲間もそれに合わせたアラインメントの者ばかりで構成するのがよいということになります。どっちつかずの選択を繰り返すと、この効果が相殺されてしまいます。もちろん、戦闘に参加させるユニットのアラインメントを限定したくないときは、忠誠度のかたよりを防ぐために、意図的に交互に選択するという手もあります。忠誠度はエンディングにも一切影響しないので、必ずしも高くなければならないというものではありません。
また、アラインメントに関係なく特定の民族のユニットの忠誠度のみが変化する選択肢もあります。例えばLルート2章の古都ライムでレオナールが謀反を提案する場面の選択肢で、「1.ああ…、それは僕の役目だ」と「2.…僕に公爵の代わりは無理だよ。」のうち、1を選ぶと、仲間のうち、ウォルスタ人のユニットの忠誠度が(主人公とカチュアを含めて)+5増加します(カチュアはその場にいて反対したくせに!)。2を選んだときは何も変化しません。
全員の忠誠度が変化する選択肢もあります。例えばCルート3章のコリタニ城でのレオナールとの決戦があります。ここでは一騎打ちと団体戦を選択できるのですが、一騎打ちを選択したとたんに主人公を含む全ユニットの忠誠度が+15 も増えます。団体戦を選んだときは変化はありません。
その他の影響の大きい例としては、4章でカチュアが死亡している状態でハイム城をクリアした場合があります。この直後のイベントで、解放軍内の不届き者にどう対処するかを求められますが、「見て見ぬフリをする」を選ぶと、LAW のユニットの忠誠度が−10,CHAOS のユニットの忠誠度が+10 されます。逆を選ぶと逆の変化をします。やはり NEWTRAL のユニットは変化しません。
一方で、選択肢には、忠誠度には全く影響しないものもあります。その代わり、民族別カオスフレームに影響する場合がほとんどです。民族別カオスフレームについては別のページ(「ギルバルドエンディング」の出し方)で説明します。
選択肢としては、このほか、イベントキャラを仲間にするかどうかの選択肢もありますが、これはただ単に仲間にするかどうかで、原則として忠誠度などには影響しません。例外的に、Lルート2章でザパンを仲間にすると、LAW のユニットの忠誠度が−5 下がります。
忠誠度は、選択肢以外でもプレーヤーが意図的に操作することもできます。すべて戦闘を利用します。
敵を攻撃すると、攻撃した味方のユニットの忠誠度がある確率で変化します。これは敵の民族のカオスフレームの高低によって異なります。また、攻撃した味方のユニットの民族によっても違います。しかし、同民族か他民族かということには関係ありません(同民族を攻撃すると忠誠度が大きく下がるというのは誤り)。変化幅は攻撃した味方の民族によって決まっていて、下の表のようになっています。
攻撃した味方の民族 | 攻撃された敵の属する民族のカオスフレーム | ||||||
0 〜 10 | 11 〜 25 | 26 〜 40 | 41 〜 60 | 61 〜 75 | 76 〜 90 | 91 〜 100 | |
ガルガスタン人,ローディス人 | 0 | −1 | −2 | −3 | −4 | −5 | −6 |
ウォルスタ人 | +1 | 0 | −1 | −2 | −3 | −4 | −5 |
バクラム人,ゼノビア人 | +2 | +1 | 0 | −1 | −2 | −3 | −4 |
不明 | +3 | +2 | +1 | 0 | −1 | −2 | −3 |
また、変化する確率は、ばらつきが非常に大きいのではっきりとは分かっていませんが、アラインメントによって差があります。LAW のユニットは忠誠度が変化しやすく(1 / 4 位の確率で変化する)、CHAOS のユニットは変化しにくい(概ね 1 / 10 以下)という違いがあります。変動確率の方も、同民族を攻撃するかどうかでは違いはありません。
一方、亜人間ユニットやLサイズユニット等、民族名が「不明」の敵を攻撃したときは、忠誠度は全く変化しません。彼らにはカオスフレームがないため、判定できないからでしょう。
さらに、味方を攻撃した場合は、忠誠度は全く変わりません。自分・相手の民族のカオスフレームに関係なく、味方を何十回攻撃しようとも、忠誠度は一切変化しません。味方を攻撃すると忠誠度が下がるという説も誤りです。ただしゲストを攻撃したときは敵を攻撃したときと同様に変化します。
そのうえ、攻撃されることでは忠誠度は一切変化しません。敵に攻撃された場合も、味方に攻撃された場合も、忠誠度は全く変わりません。主人公に攻撃されても、殺されても、生き返らされても、回復されても、変わりません。忠誠度が変わるのは、「敵またはゲストを」「攻撃した」場合のみです。
実戦でレベルアップさせるのが確実な忠誠度上昇方法ですが、既にレベルが 50 になってしまったユニットにはその方法は使えませんし、レベルを上げすぎるとゲームバランスが崩れます。そこでどれかの民族に犠牲になってもらって、忠誠度を上げるための「標的」にします。
以上のように、戦闘を利用して仲間の忠誠度をある程度操作できます。死者の宮殿では、レベルアップによる忠誠度上昇はありませんが、アンデッドにも民族があるので、そのカオスフレームに従い、攻撃した者の忠誠度が変化します。またカオスフレームの高い民族の敵を攻撃すると、攻撃した者の忠誠度が下がるわけですが、多数の敵を殺すと、殺された民族のカオスフレームも下がっていくので、攻撃した者の忠誠度は次第に下がらなくなり、やがて上がるようになります。上記のように、レベルが50になってしまったユニットの忠誠度をさらに上げるには、この方法しかありません(ガルガスタン人とローディス人を除く)。ランダムエンカウントをひたすら数多くこなすと、各民族のカオスフレームが(0になるまで)下がりきってしまうので、倒した方の味方ユニットの忠誠度は(わずかずつながら)上がるようになります。
ここで注意して頂きたいのは、「ギルバルドエンディング」を出すための条件は、忠誠度ではない、ということです。仲間の忠誠度が(過去に除名や死亡した仲間を含めて)どんなに低くても、ギルバルドエンディングは見られます。ギルバルドエンディングを見るために仲間の忠誠度を上げようとして、ランダムエンカウントを繰り返すのは、まったく逆効果です。ギルバルドエンディングを出すための条件は、別のページ(「ギルバルドエンディング」の出し方)で詳しく説明します。