「タクティクス オウガ」のエンディングは基本的には2つしかなく、グッドエンディングか、そうでなければバッドエンディングです。ルートによってそれぞれ登場人物が多少変わりますが、内容的にはほぼ同一です。グッドとバッドの分岐は、カチュアが生きているか死んでいるかの違いによります。エンディングの内容についてはここでは詳しくは触れませんが、普通のバッドエンディングでは、主人公は最後に暗殺されて終わりになります。ところが、ある条件を満たすと、バッドエンディングでも主人公が暗殺されないことが分かりました。代わりにエピローグの中に「伝説のオウガバトル」の登場人物であるギルバルド・オブライエンが登場するので、これは「ギルバルドエンディング」と呼ばれるようになりました。
ギルバルドエンディングは、バッドエンディングの中でもまれにしか見られないので、その出現条件が話題になりました。多くの議論がなされましたが、おぼろげに分かったことは、仲間のユニットの忠誠度を上げるとギルバルドエンディングを見やすくなる、ということでした。そこで忠誠度とギルバルドエンディングの関係がずっと取りざたされてきました。
ズバリ言うと、これは誤りでした。忠誠度とギルバルドエンディングには何の関係もないのです。このような間違いに陥った原因は、「忠誠度を上げる」方法と、「ギルバルドエンディングの出現条件を高める」方法が偶然(?)同じものだったからです。
仲間を実戦でレベルアップさせると、その仲間の忠誠度が(+3だけ)上がります。しかし同時にギルバルドエンディングを出現させるためのパラメータも(ある確率で)上がるのです。このことがギルバルドエンディングの出現条件が忠誠度にあるのではないかという誤解を生む元となりました。
結論から言うと、ギルバルドエンディングと仲間の忠誠度には、一切関係がありません。ギルバルドエンディングの出現に関わるパラメータは、「民族別カオスフレーム」とでも呼ばれるべきもので、忠誠度とは本質的に無関係なパラメータです。ゲームの中ではこの2つのパラメータははっきり区別して扱われていて、それぞれしかるべき選択肢を選んだときのみ独立に上下します。
私の調べた限り、これ以外の条件はまったくありません。仲間の忠誠度が全員最低レベルでも、上の2つの条件を満たせばかならずギルバルドエンディングになります。
以下は、PS 版での確認事項ですので、他の機種では違う可能性もあります。また、全ての場合を調べたわけではありません。ご了承下さい。
「タクティクス オウガ」の前作「伝説のオウガバトル」には“カオスフレーム”というパラメータがあり、画面右上の棒グラフで表されていました。カオスフレームは民衆からの支持の度合いを表すもので、このパラメータの高低がエンディングの選択に大きく関わっていました。
タクティクス オウガにもこのカオスフレームが存在します。しかも各民族ごとに用意されています。カオスフレームのある民族は、ウォルスタ、ガルガスタン、バクラム、ゼノビア、ローディスの5民族です。なぜローディス人にまでカオスフレームがあるのかは分かりませんが、ちゃんとそれなりの変動をします。人間でない亜人間族(フェアリーとかリザードマンとか)や、Lサイズのドラゴン族などにはカオスフレームがありません。この民族別カオスフレームは前作と違って隠しパラメータになっており、これについてはどの攻略本にも載っておらず、ゲームの説明書にもHELPにもまったく触れられていないので、これまでその存在が知られていませんでした。
民族別カオスフレームは、各民族に1個ずつ設定されているもので、ユニットごとに設定されているユニットの忠誠度とは全く別のものです。ただし、ただ二点、この2つのパラメータの接点があります。それは、一つは「ショップで雇う新兵(ソルジャーまたはアマゾネス)の忠誠度は、その民族のカオスフレームを元に決められる」という点です。もう一つは、「敵を攻撃した時、その(攻撃された)民族のカオスフレームの高低によって、攻撃した者(味方)の忠誠度の上昇・下降に違いが出る」という点です。いずれも別のページ(“忠誠度”調査結果)で説明しています。
それ以外の点では、忠誠度とカオスフレームに関係はありません。ゲームの中でも明らかに区別して扱われています。
民族別カオスフレームは、このゲームの中でも最も分かりにくいパラメータです。その値を知ろうにも、ショップで雇った新兵の忠誠度を通して推し量るしかないからです。忠誠度そのものが直接見られないパラメータなので、二重に分かりにくくなっています。(注:新兵の忠誠度は、雇う前にチェックして、雇用をキャンセルすれば、雇わなくてもチェックできます。)
ゲームの開始時点では,5民族ともカオスフレームは 50 あります。
プレーヤーの行動(選択肢)によって、各民族のカオスフレームが決まった変化をする場所(場合)がいくつかあります。一番目立つのは、ルートの選択です。
タクティクス オウガでは、どのルートでも全4章のストーリーを追いますが、1章→2章の移行と3章→4章の移行の時に、カオスフレームが決まった値だけ変化し、しかもルートによって違います。2章→3章の移行の時は(Cルートなどはルート選択があるにもかかわらず)、どのルートでもどの民族のカオスフレームにも変化は出ません。これらの変化を表にすると、
ルート | ウォルスタ | ガルガスタン | バクラム | ゼノビア | ローディス | |
---|---|---|---|---|---|---|
1章→2章 | Lルート | −20 | −10 | −10 | −10 | −10 |
Cルート | +15 | −10 | −10 | +10 | +10 | |
3章→4章 | Lルート | +5 | +5 | −20 | 0 | −20 |
Nルート | 0 | 0 | −10 | 0 | −10 | |
Cルート | +10 | +10 | −15 | 0 | −15 |
となります。明らかにLルートが一番損です。ウォルスタ人はバルマムッサの虐殺をちゃんと見ているというわけです。ただし、ここでの変化は、ゲームバランスを保つための調整的な意味合いが濃いと思われます。バクラム人のカオスフレームが必ず下がるのも、バクラム人はイベントキャラなど仲間にする機会が多く、カオスフレームが突出しがちなので、それを抑えるためと考えられます。カオスフレームがあまりに上がりすぎると、その民族を攻撃した味方の忠誠度が下がるなど、悪影響もあるからです。
ストーリーの中では、プレーヤーに選択が迫られる場面が何度も出てきます。これらの選択肢のうち、一部は仲間のユニットの忠誠度に影響します(「“忠誠度”調査結果」を参照)。その他の選択肢は、仲間の忠誠度ではなく、民族別カオスフレームに影響します。
例えば、ゲームの最初でプレーヤーが遭遇する選択肢(聖ランスロットとの会話)では、ゼノビア人のカオスフレームが影響を受けます。
最初の選択肢 | 二番目の選択肢 | ゼノビア人の カオスフレーム |
---|---|---|
どうか僕らをお許しください。 | (選択肢なし) | +5 |
姉さん、油断しちゃいけない。 | あなたを信じましょう。 | 0 |
……。 | −5 |
同様なものは、1章・古都ライムでのシスティーナ救出場面でも現れます。ここでは最初の選択肢は仲間の忠誠度に影響し、2番目の選択肢がウォルスタ人とバクラム人のカオスフレームに影響します。
最初の選択肢 | 二番目の選択肢 | ウォルスタ人の カオスフレーム |
バクラム人の カオスフレーム |
---|---|---|---|
いずれにせよ放ってはおけない。 | ウォルスタの未来のため。 | +5 | −5 |
真の平和のため。 | +5 | +5 | |
助けたいのはやまやまだけど…。 | (選択肢なし) | 0 | −10 |
影響の大きい例としては、Lルート3章のブリガンテス城でのガルガスタン人の老人との会話があります。ジュヌーンを仲間にするかどうかの所です。
選択肢 | ガルガスタン人の カオスフレーム |
---|---|
もちろんそうです。 | −15 |
そんなことはありません。 | +15 |
同様に、Cルート2章で海賊に捕らわれたシスティーナを救出するかどうかでは、バクラム人のカオスフレームに大きな変化が出ます。
選択肢 | バクラム人の カオスフレーム |
---|---|
システィーナを救出する | +18(引き受けて+10、完了して+8) |
システィーナの救出を断る | −10 |
なお、その後のボード砦での選択肢(救出した場合3人を、しなかった場合フォルカスを、仲間にするかどうか)では、カオスフレームに変化はありません。
会話の選択肢としては出てきませんが、4章初めのブリガンテス城の解放方法も影響の大きい部類です。デニムの武器・魔法をすべて外して南側から一人だけで入れば戦闘を避けられますが、そうしなかった場合は戦闘になります。
ウォルスタ人の カオスフレーム |
ガルガスタン人の カオスフレーム |
バクラム人の カオスフレーム |
|
---|---|---|---|
無血開城 | 0 | 0 | 0 |
武力制圧 | −5 | −5 | −5 |
あまりカオスフレームに関係なさそうな選択肢でも、影響していたりします。例えば1章・フィダック城での選択肢は、仲間の忠誠度に影響するのではなく、ウォルスタ人のカオスフレームに影響します。
選択肢 | ウォルスタ人の カオスフレーム |
---|---|
姉さん、今はよそう。 | 0 |
敵と手を組めるはずがない…。 | −5 |
例外的に、選択肢もないのにカオスフレームが決まった変化をする場所もあります。例えばNルート3章のボード砦でのセリエ救出イベントをこなすと、ウォルスタ人のカオスフレームが−5、ローディス人のカオスフレームが−30と変化します(ローディス人のカオスフレームはエンディングに影響しませんが…)。
ギルバルドエンディングを見るには、意図的にカオスフレームを高くするようにしなければ、まず無理でしょう。カオスフレームは戦闘を利用して操作できます。
以上のように、戦闘を利用して各民族のカオスフレームを操作できます。普通にゲームを進めていると、民族別カオスフレームはどんどん下がっていくのが分かりますが、これは人を殺しすぎているということです。回復措置を講じないとギルバルドエンディングを見るのは難しいでしょう。ただし、あまりに民族別カオスフレームを高くしすぎるのも考え物です。なぜなら、カオスフレームの高い民族の敵を攻撃すると、攻撃した味方の忠誠度が大きく下がるからです(「“忠誠度”調査結果」を参照)。何事もほどほどが肝心です。
つまり、効率よくカオスフレームを高くすることがポイントです。
繰り返しますが、ギルバルドエンディングは、ユニットの忠誠度とは全く関係ありません。仲間の忠誠度がどんなに高くても、3民族のうちどれか一つでもカオスフレームが29以下だとギルバルドエンディングは見られません。この点十分注意してください。